【和食×若者】美容効果を伝えて意識改革、ソシオフードサービスが女子生徒の和食離れを改善
ソシオフードサービス株式会社が受託する岩手県盛岡市の女子学生寮では、和食に対して苦手意識を持つ生徒が多く、残食が目立っていました。そこで和食を提供する際に、献立に使用している食材について「美肌効果」「貧血改善」「お通じ改善」など女子生徒が普段から気にしている美容効果をメッセージで紹介しました。この取り組みにより彼女らの食事に対する意識が向上し、和食の残食率は以前の3分の1に減少するなど変化が見られました。
■国内の和食離れ
和食は「和食:日本人の伝統的な食文化」として、日本人の精神に基づく文化として世界に認められ、2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。人類共通の財産となった和食を、将来にわたり保護・継承していくことが求められています。
一方で、外食の増加や食生活の欧米化により、国内では「和食離れ」が進んでいます。国民1人当たりが食べる米の量は1960年代から減少の一途をたどり、現在では半減しました。世帯当たりの穀類支出額が、2008年にはパンや麺にとってかわるなど、日本人の食生活スタイルは大きく変化しています。※1
日本の食文化である「和食」を次世代に繋げていくことが課題となっています。
※1 農林水産省HP「食文化のポータルサイト」より
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/index.html
■「和食は家であまり食べたことがない」
ソシオフードサービスが受託する岩手県盛岡市の学生寮では、中学生、高校生の女子生徒が寮生活を送っています。寮では朝食と夕食に必ず和食を取り入れた献立を提供してきましたが、ハンバーグや唐揚げ、スパゲッティなどの洋食の方が好まれ、和食の残食が多い状況でした。中でも、ごぼうやひじき、切干大根などの日本独自の食材を使った献立をはじめ、魚の塩焼き、煮物などに苦手意識が強いようで、食べ残す生徒の多くは「家であまり食べたことがない」と話し、食べ慣れていない様子でした。
■成長期はサプリメントよりも、食事から栄養を摂ってほしい
寮で献立を担当するソシオフードサービスの小原明子さんは、和食の食べ残しをどう改善できるか悩んでいたところ、生徒が美肌のサプリメントを飲んでいる、ということを知りました。
小原さんは、サプリメントに頼る若い世代を危惧すると同時に、「サプリメントを飲むほど美容意識の高い子は、食事から同じ栄養が摂れるとわかれば苦手な和食も食べてくれるかもしれない」と考えました。
そこで提供の際に、ほうれん草のお浸しなどの青物野菜や、かぼちゃの煮物などの緑黄色野菜を使った献立には「美肌効果!」、ひじきの煮物や海苔和えなどの海藻類を使った献立には「貧血改善!」、切干大根や根菜類を使った献立には「お通じ改善!」など、若い生徒が和食に興味を持つように食材の効能や栄養素がわかるメッセージを付けるようにしました。
この取り組みによって生徒からは、「低カロリーで栄養のある食事は何ですか」という質問や、「余っていたお魚も全部食べたよ」「メッセージカードを見ていますよ」などを伝える声が増えました。食事に対する意識が高まった結果、和食の残食率は以前の3分の1までに減少しました。
■今回の取り組みを発案したソシオフードサービス小原明子さんの想い
「和食は一汁三菜で栄養バランスが良く、油ものや炭水化物を摂りすぎません。また、春菊や菜の花、たけのこなど和食ならでは旬の食材も楽しめます。年頃の女の子が美容やダイエットなどに関心を持つことは理解できますが、サプリメントに頼らず食材から栄養を摂っていただきたいと思い、食材の効果をメッセージで紹介することに取り組みました。これからも様々な食材を食べる機会をつくり、少しでも好き嫌いや偏食などの改善に役に立てれば良いなと思います」