トピックス

現場力

現場力インタビューVol.8「手洗い衛生講習会の実施」


現場力作成者: ソシオフードサービス 横浜市にある社員食堂の責任者 高尾 武潔さん

ソシオークグループの「現場力」とは 「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

今回ご紹介する現場力は、横浜市にある事業所の社員食堂の責任者である高尾武潔さんが3年前から取り組んできた、事業所独自に行う衛生講習会です。この講習会をはじめとした取り組みによって、パートナー社員の衛生の知識が増え、業務に余裕が生まれ、自主的に業務改善に取り組むようになるという好循環が生まれたといいます。「パートナーさんみんなが安全・安心な仕事をしてくれるからこそ、私も料理に力を入れられ、顧客満足度が上がり信用を頂けるんです」と語る高尾さんに、詳しくお話を伺いました。
(※ソシオークグループでは、パート社員のことを「パートナー社員」と呼称)

  ――今回の現場力は、事業所独自に衛生講習会を開催したという内容ですが、きっかけがあったのでしょうか?

私が横浜市にある事業所の社員食堂に責任者として赴任してきたのは約3年少々前です。パートナーさんたちの衛生にかける意識をより高めるために、独自に社員教育を行うことにしました。私以外8名のパートナーさんが在籍しており、まずは手洗い講習会から就業前に2人1組に分けて複数回、私が講師となり注意点やコツを伝えました。

――講習会を実施して、うまくいったこと、難しいと感じたことを教えてください。

全スタッフの基礎知識と意識改革につながりました。マニュアルをきちんと見直したことで、どうしてこういうやり方をするのかという理屈付けができ「なぜしなければいけないのか、理由が明確になった」と言ってもらえました。特に何か大きなことに役に立ったというより、「これが大前提。これをやるのが当たり前」みたいな意識が統一された感じです。

パートナーさんたちは最初から「ちゃんと衛生のことを学びたい」という想いがあったので難しいと感じたことはありませんでした。

――手洗い講習会の他にも取り組みはありますか。

私一人で調理を行うため忙しいこともあり、座学も本当にごくまれにしかできません。なので、ポイントを絞って、1つずつ行っています。例えばHACCPの考え方とか基本的なことは、資料をまとめていつでも閲覧できるようにしました。

他にも調理における急速冷却の必要性や、次亜塩素酸ナトリウムに浸けた清潔なダスターを常に交換しながら使用すること、各シンクに次亜塩素酸ナトリウムを1.8リットルのペットボトルに常備することなどの約束事を確認しました。

――基本的な約束をしっかりみなさんで確認されているのですね。特に印象的なエピソードはありますか。

カンピロバクターの食中毒をテーマに講義をしたことがあります。このカンピロバクターは、「鶏肉には絶対いるぞ」ってパートナーさんみんなに周知したのですが、それからしばらくはみんなが鶏肉や、バット内に残ったマリネ液(鶏肉を漬け込んでいたタレ)を「カンピロバクター」と呼ぶようになりました。(笑)

――その後、パートナーさんの行動で何か変化はありましたか。

手洗い講習のような基本中の基本の現場力を重ねていくにつれて、パートナーさんたちの衛生や調理の知識が増えて、余裕が生まれ、自発的に動けるようになりました。それによって次から次へと現場力が生まれてきました。今では「こうしたら」「ああしたら」と常日頃から話し合うようになり、様々な業務の改善がどんどん進んでいます。

――次から次へと・・・!例えばどんな現場力ですか。

コロナ対策のアクリルパーテーションは、洗い場や食事提供口にパートナーさんが自主的に考えて独自に設置を始めると、それを見てクライアント様が良い案だからと、業者を入れたしっかりとした設備にしてくださいました。それから、厨房とホールへつなぐ通路ドアは、事業所メンバーだけでなく外部関係者も使用するので、衛生注意喚起の貼り紙を貼ったりもしました。


パートナーさん発案のアクリルパーテーションを設置していただきました。


――高尾さんが現場力において一番大切にしていることは何ですか?

パートナーさんあっての私だと思っています。私がここに赴任してきた最初の頃に、食事を終えた方からパートナーさんが「おいしかったよ」って言われて、戸惑いがあったと言っていたのです。なんで戸惑うのか聞いてみると「だって料理を作ったのは高尾さんでしょ」って言うのです。

でも「私に料理をやらせてくれるのはあなたたち」「おいしいね。って言われたのはあなた方だと思ってください。きちんとした仕事をしてくれるから、私が料理に手をかけられる時間ができるのですよ」って返事をしました。パートナーさんみんなが自発的に仕事をしてくれるからこそ、私もコックとして料理に心を込められ、顧客満足度が上がり、信用をいただける。これが一番大事なことです。